芳野真弥の確率Blog

僕たちが変えられるのは確率だけ(たぶん)

先輩就活生が考えていたこと、やっていたこと(1人目:慶應・理工・修士・男子)4/4

 

 

前回までのお話はこちら。

 

 


今の自分が作られてきた体験

芳野:Wさん自身の就活のお話、ありがとうございました。後輩のみなさんにとっても、かなり参考になるお話だったと思います。ここからは、時系列を無視して、いくつか気になることを質問させて頂きたいと思います。

W氏:はい、なんでも大丈夫です(笑)

芳野:まず、Wさんはリクルートと同じく「じゃあ、やれば」という思考特性を持っていたようですが、これはなぜだと思いますか?・・・というのも、理系の人ってどちらかと言うと「何で?」とか「根拠は?」みたいに、遡る思考が発達している傾向にあると思うんですよ。実際、研究室でも会社でも、事実とか原因は述べても今後どうするかを考えてないので「で?」「だからどうするの?」みたいに突っ込まれる人が多いんですよ。

W氏:一番根本にあるのは、高校生のときの文化祭実行委員ですね。僕、高校生の時は前に立ったりするタイプじゃなくて、どちらかというと意見も言わないタイプでした。一度、ピタゴラスイッチを作ったことがあって、すごくやりたかったので積極的に自分から買い出しに行って、設計もして、みんなも巻き込んだ経験をしました。その時に初めてみんなで何かをやるということをしました。それがすごく楽しくて、反響もあったというのが成功体験になったんだと思います。

芳野:成功体験ですか。これは大きなヒントを頂いた気がします。

W氏:次の年には、お化け屋敷をやったのですが、小さな部屋でより多くのアトラクションを楽しめるように設計したら、それが2時間待ちになったんです。お年寄りから子どもまで楽しそうにしてくれたのを見て嬉しかったのを覚えています。その時も、他人を巻き込んで、あまりやる気のない人も「やってみたら楽しいって!」という感じで巻き込んで進めていけたことが、きっかけとしてあるのかなと思います。大学に入ってからも、活動をせずに過ごそうと思えばそうできちゃうんですけど、それじゃ楽しくないし、いろんなことに挑戦したいなって思って上京してきたので、それを実践するようにしていました。


芳野:成功体験が次の成功体験を創りだしていったんですね!一歩目が勝負ですね。

 

就活で印象に残っていること

芳野:次の質問ですが、就活をやってきて面白かったイベントってありましたか?

W氏:今思うと、コンサル系の企業のケース面接は楽しかったです。理系だと経営・経済の仕組みもあまり知らないので、いざ「売上を上げるためにはどうすればいいか」みたいなテーマを出されても、ある程度の前知識がないと答えられないんです。そんな中で自分で学んでいったので、以前より視野も興味も広がりました。最初はケース面接苦手だったんですけど、最後の方は自信を持って楽しめていました。

芳野:逆に嫌だったことはありますか?
 
W氏:改善して欲しいと思ったのは、エントリーが7000~8000くらいあるような人気企業の採用方法ですね。テストやエントリーシートの段階ではあまり人数を絞らず、ほぼ全員一次面接をやる企業は、面接時間が10分くらいしかないんです。ほぼ流し作業でしたね。

芳野:あまりにも面接時間が短いと、ちゃんと見てもらえてるのか不安になりますよね。まあ、実際は10分でも結構分かるんですけど、学生からしたら「えー」と思うのも理解できます。

W氏:そんな中、ADKという会社は7000集まるエントリーシートは手書き3枚で結構重いのですが、そのうち受かるのが2000くらいって言われているんです。通った2000人はグループディスカッションで1500くらいに削られて、その後の面接が40分あります。ちゃんと自分という人間を見てくれる選考方法だなと思いました。

芳野:10分くらいで全員面接するくらいだったら、エントリーシートで人数絞ってでも、ちゃんと一人ひとり見てほしいということですね。

W氏:別の広告系人気企業では、エントリーシートの内容をかなりちゃんと書かなくてはいけない割に、エントリーシートの選考は全員通るし、それが面接で使われることもなくて、何で書かせるんだろうって感じで微妙でしたね。

芳野:これは、後輩就活生じゃなくて企業の採用担当者に参考になる話ですね(笑)。ところで、今は就活が終わって、研究に集中しているのでしょうか?

W氏:リクルートWEBサービスを一つ作ったらどうかと言われたので、今はもうちょっとプログラムを勉強したいなと思っています。エンジニアになるわけじゃないけど、エンジニアと対等に話せるディレクターになっていきたいので。でも研究も好きですし、7月の発表に向けて研究しています。

 

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(左:アツい話を爽やかに語ってくれるW氏)

 

後輩へのアドバイス

芳野:就活を振り返ってみて、今後就活をやっていく後輩のみなさんに何かアドバイスはありますか?

W氏:はい。まずは、エントリーする前に、早いタイミングで自分のサークルなどのいろんな先輩にもっと会って、その人はどういう就活をしたのかをヒアリングしておくと良いと思います。プレエントリー開始の2ヶ月前くらいから意識して話を聞いておくといいです。それで、聞いた話を自分の中で整理して、就活に対するモチベーションを上げておくのは大事です。それをしておかないと、固定概念で視野を狭めてしまうと思うんですよ。自分も最初は「コンサルだ!」って決めつけていましたし。でも本当に自分の行きたいところって最初の頃は分からないし、幅広くいろんな業界の先輩から話を聞いておくのが必要だと思います。

芳野:まずは広く、ですね。すごく分かります。他にもアドバイスありますか?

W氏:エントリーが始まった後くらいの時期にしておくべきことは、人生の10大イベントを絞り出すことです。大変ですけど10個は出した方がいいです。10個絞り出したら、そこからお互いの関係性が分かるように線を引いていくんです。このイベントからこういう思考になって、こんな行動を起こして、そこでこういう結果が得られたっていうのが分かるように。それをすることによって、自分の中で自信がつくんです。たとえば面接で「小学校、中学校ではどうだったの」って聞かれても、頭の整理ができているので、すぐにパッと答えられるんです。僕は人生の10大イベントを書きだした紙を、いつも胸ポケットにお守りとして入れておきました(笑)

芳野:事実から思考していくのは大事ですよね。何もないと考えようがないので、まずは事実を書き出すっていうのはとても有効な自己分析方法だと思います。

W氏:あとは、自己分析をした結果を踏まえて、仕事をすることの目的や仕事への想いを自分の中で持っておくべきだと思います。「なんで自分は仕事をするんだっけ?」みたいなことを。面接でも、「こういう想いがあるから仕事したいんです、それでその想いを実現する場として、御社を志望しているんです。」という結び付け方が、一番しっくりくるんじゃないかと思います。

芳野:どこで働くのかということよりも、そもそもなぜ働くのか、ということですか?

W氏:はい。そのことを僕も見落としていました。実は僕、就活がうまくいかなかったら田舎に行ってスローライフを送ろうって半分くらい思っていたんです。もう半分はドクターに進もうかなって。修士1年の3月にOB訪問をした時、先輩に「僕、スローライフでもいいと思っているんですよね」って言ったら、先輩が「じゃあなんで仕事するの?仕事に対する想いって何?」って言われたんです。そのときハッとしました。それで、自己分析をもう一回振り返って、自分が仕事をする意味ってこれだなっていうものを見付けました。面接の自己紹介などでそれが言えれば、働くことをちゃんと考えているという評価もされると思います。

芳野:そうですね、たしかに企業はそういうのを考えてない学生が多い!と怒ってます(笑)。「仕事観」「職業観」「就業感」といった言葉で言い表されますけど、そもそも働くって何?とか何のために働くの?っていうのを語れるのは良いアピールになるでしょうね。ところで、ここに、このインタビュアー企画のメンバーで大学生の髙﨑さんがいるんですけど、何か先輩に聞いておきたいことはありますか?

高崎:私は薬学部なんですけど、薬学部って、就職場所が病院か薬局かで絞られてしまっているんです。なので、就活というものをいまいちイメージすることができないんです。

芳野:なるほど、質問のしようがないと(笑)

W氏:ある会社の人事の人が言ってたんですけど、理系の人って最初からこの道だって決めつけてしまう傾向にあるらしいんですよ。もちろん専門性を活かすのは良いことなんだけど、その人はもったいないって思ってるみたいでした。就活は自由なんだから、もう一回、自分がやってきたこととか、ワクワクすることとかは何なのかを、もっと幅広く見つめ直すのもアリかもしれませんね。自分の人生で勉強してきた時間なんてこれからの仕事をしていく時間に比べたら短いんだし。僕の周りでも「入社したらこれしたい!」って言える人は少ないんです。今から入社後に何をしたいか考えるのは難しいと思うけど、その想いがないと、入社してからまた自分探しをしなくてはいけないから大変な気がします。

芳野:「こういう業界に行きたい」「こういう会社に入りたい」を言う人は多いですけど、「これがしたい」という人はあまりいませんね。「消防士になりたい」「消防署で働きたい」という人はいるけど、「火を消したい」「人命救助をしたい」という人がいない、みたいな感じです。コレ、どっかで見た例のパクりですけど(笑)

W氏:そうですね。それに、友達を見ていても、自分の想いをもって就活できていた人の方が、自分の納得できる結果に終わっていることが多いと思います。

芳野:大学生と話していると、「やりたいことが分からない」っていう人が結構多いんですけど、そういう後輩には何てアドバイスしますか?

W氏:何したらいいか分からないっていうのは、自分のことを他人に聞くというのが苦手なんだと思います。自分のことよく見てくれているのって、結構友人なんですよね。就活が終わって、僕がリクルートに決めたことを話すと、友人からは「リクルートっぽいよね」って言われて、やっぱり友人は良く見てるんだなと思いました。僕は就活中、恥ずかしがらずに、長所・短所を友達に聞いたりしていました。人に聞くことで、自分が何をしたいのかっていうのを、見つけに行く姿勢を持つことが大事だと思います。先輩や友人の話を聞いていると何か「いいな」って共感できるポイントや材料が絶対あるので、それを見つけに行くことですね。

芳野:素晴らしいアドバイスをありがとうございます。今日はためになるお話をたくさん聞かせて頂き、本当にありがとうございました。

W氏:こちらこそ、ありがとうございました。僕も就活のことを思い出して、いろいろ話せて楽しかったです。面接ほど緊張しませんし(笑)。それに、自分が考えたことや決めたことを振り返って、入社に向けて今後の決意を固めることができました。


 

今回は、初回ということで、いろいろ暫定的にやってみましたが、いかがでしたでしょうか?コメント欄やツイートなどで感想を頂けると嬉しいです。

 

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※今回のスタッフ

 髙﨑理子@riko_kuma)、芳野真弥(@m_t_t_b

 
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