芳野真弥の確率Blog

僕たちが変えられるのは確率だけ(たぶん)

就活生が最初にやるべきこと(中編)

 

前回は、就活生が最初にやるべきこととして、就活マーケットが動くメカニズムを理解しましょう!ということをお伝えしました。そして、就活マーケットを理解する上で重要な、メインプレイヤーの行動原理と数バランスについても触れました。今回は、サブプレーヤーと就活のルールについて説明します。

 

サブプレーヤー

就活マーケットには、企業と学生というメインプレーヤー以外にも、たくさんのサブプレーヤーが存在しています。メインプレイヤーの行動原理は「より良い相手とくっつきたい」でしたが、サブプレーヤーの行動原理は「お金を儲けたい」です。ちなみに「お金を儲けたい」という言葉に悪い意味は含まれていません。僕達の生活を豊かにするのは、いつだって自由な経済活動によってもたらされたものです。と言うか、就活マーケットにいるサブプレーヤー達は、むしろ非常に崇高な理念をもって、本気で良い採用が実現されることを目指して様々なサービスやモノを開発し提供しています。ただ、ビジネスでやる以上、ちゃんとお金を儲けたいと思っているだけです。というか、ビジネスでやるからこそ質が高まるのであって、僕はお金を取るというのはすごく良いことだと思っています。

 

さて、そんなサブプレーヤーですが、最も有名なのは、やはりリクナビマイナビをはじめとする就活サイト運営会社です。これらの企業は、企業からお金をもらってサイトを運営しています。同じように、企業からお金を貰っているサブプレーヤーには、優秀な学生を採用するためのお手伝いをする採用コンサルタント、採用活動のために動画やパンフレットを作る制作会社、説明会などの就活イベントを行うための貸し会議室屋さん、学生への電話掛けやエントリー名簿管理といった面倒な業務を請け負う採用業務アウトソーシング会社、新卒学生を直接紹介する人材紹介会社などがあります。

 

もちろん、就活生をビジネスターゲットにしているサブプレーヤーもいます。まずは、学生が良い会社に入るためのお手伝いをする就活コンサルタントリクルートスーツを売る洋服店、就活用メイクアップセミナーなどを開催して自社製品を売ろうとする化粧品メーカー、そして僕のように大学からお金を貰って就活関連のセミナーや講座をやるキャリア講師などです。しかし、大学も学生も就活というものにあまりお金を使いませんので、企業からお金を貰っているサブプレーヤーと比べて数や会社の規模は小さいことがほとんどです。

 

 

さて、ここまでで、就活マーケットに参加しているプレイヤーを一通り知ることができたと思います。それぞれのプレイヤーはそれぞれの行動原理を持って(利益を求めて)戦っており、他のプレイヤーの戦い方に対して文句を言っても仕方がないということが分かって頂けましたでしょうか。就活サービスに振り回されるなんて愚の骨頂です。マーケットに存在するプレイヤーの種類と行動原理を知って、自分にとってベストな戦い方を身につけるようにしましょう。

 

 

ルール(その1 勝ち負け)

サッカーは45分×2回の時間内に、ボールを相手ゴールに多く入れた方が勝ちです。これは敵も味方も同じです。そして、どちらかが勝てばどちらかが負けます。しかし、就活の勝ち負けのメカニズムはスポーツとは全く異なります。まず、企業にとっての勝ちと学生にとっての勝ちは意味が違います。そして、両者共に勝つということがあり得るのが就活というゲームです。

 

まず、企業側の「勝ち」について説明します。企業側の勝ちには、「量的な勝ち」と「質的な勝ち」があります。企業は内定を複数人に出すことができますが、その目標人数を予め定めています。例えば、今年度は50人採用したいと決めている企業が、実際に50人の内定承諾を得られれば量的に勝ったことになります。質的な勝ちというのは、採用したい欲しい人材のタイプやレベルに合致している学生を採用できたかどうかです。実際は、量と質の組み合わせで、「上位校を●●人採用して、■■タイプは▲▲人採用する」みたいな目標を作ることが多いです。

 

次に、学生にとっての「勝ち」ですが、これはもう志望している企業から内定をもらうということに尽きます。就活マーケットのメカニズムを理解する上で大事なことは、学生は企業を一社しか選べないということです。企業は複数の学生を採用できますが、学生は最終的に一社を選ばなければならないのです。「内定をもらうことが全てじゃない」とかいろんな美しいストーリーを語る人たちがいますが、内定いらないんだったら就活なんてやめた方がいいですね。別に僕は就活がいいものだなんて思ってませんが、そこで戦うと決めたのなら、グダグダ言わずに目的を達成すべきです。

 

 

ルール(その2 時期)

サッカーは、ワールドカップやオリンピックなどが自分の意思とは関係なく開催されており、その時期に合わせてセルフコントロールしていきますね。就活も全く同じです。

 

日本には経済団体連合会というどうしようもない団体があり、就活マーケットで活動をおこなう時期を勝手に定めています。これを「余計なお世話」と言います。間違えました。これを「採用選考に関する企業の倫理憲章(通称:倫理憲章)」と言います。ちなみに、このスケジュールは数年後ごとに変わったりするので、よく確認しておいてください。2016年度採用(今の学部3年生と修士1年生)に関しては、こんな感じです。

 

ちなみに、この倫理憲章というのは、一部の企業が勝手に決めてやっている非公式ルールですので、守ってない企業はいくらでもあります。ただ、日本人は村八分になることを極端に忌避するメンタリティが備わっていますので、いわゆる日本型のお堅い企業はなんだかんだで守ります。守らないのは、ほとんどが外資系やベンチャー系ですね。なお、倫理憲章に関しても、それが良いか悪いかなんて(自分が就活に参戦するときには)考えなくていいので、単に敵はどの時期に戦いを仕掛けてくるかのを知り、そこで勝つための準備をするようにしましょう。

 

 

ルール(その3 戦い方)

企業は「より良い学生を採用する」、学生は「より良い企業に入る」という目的のために、様々な戦い方をします。基本的には何をやってもいいのですが、最低限のルールとして、企業は性別や家柄などで学生を差別してはいけないということだけは定められています。一方、学生は知名度や規模や場所で企業を差別してもOKです。実は就活マーケットは、企業の方にだけ一方的に制約がかけられているアンバランスなルールの上で戦いがおこなわれているのです。

 

 

では、一体どうやって内定が決まっていくのかという「戦いが進んでいくメカニズム」を、次回解説したいと思います。