最近の研究成果(その4)―阿蘇山で燃料電池に使える電極を発見、数百℃の熱い氷とは、他
今回で3回目となりました、シリーズ「最近、大学などの研究機関が発表した研究成果の紹介」です。
1、セシウム汚染物の効率的な除染技術を実証(産業技術総合研究所)
【紹介コメント】
放射線というのはやっかいで、圧力や温度などの条件を変えても、出てくる強さや量を調整することができません。そのため「除染」というのは基本的に「ただ集めてまとめて保管する」ということになります。とはいえ、こういう技術のおかげで飛散することは防げるわけで、やっぱり頑張って欲しいなと思います。まあ、集めたものなんて埋めておけばいいだけですからね。
2、黄色系の花の着色を促進する新しい遺伝子を発見(大学)
【紹介コメント】
植物の遺伝子解析はどんどん進んでいきますね。今、僕たちの食卓に並んでいる食べ物も、ほとんどが(遺伝子組み換えではないけど)遺伝子交配によって人工的に作られたものです。今後、さらにいろんな品種が出てくると、ますます料理の材料が増えて、彩りも豊かになりそうですね。
3、iPS細胞誘導時におけるテロメアテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)の重要性の解明(九州大学)
【紹介コメント】
ノーベル賞受賞後も、iPS細胞の研究は着々と進められています。iPS細胞による治療は、自分と全く同じ遺伝子を持つ細胞を作るため、元々自分の遺伝子に異常があると、それを複製するだけになってしまいます。しかし、今回の研究では遺伝子に異常があっても、それを修復してiPS細胞を作ることができることを示唆しています。人間の知恵は果てしないですねー。
4、燃料電池の白金電極を超える水素酵素「S–77」電極の開発に成功(九州大学)
【紹介コメント】
酸素と水素から電気エネルギーを生み出し、廃棄物は水だけという燃料電池ですが、これまでは電極に高価な金属で有名な白金(つまりプラチナ)が使われていました。これはいかんということで、今回新しく電極として使えそうな物質が発見されたのですが、その発見場所はなんと阿蘇山!一体どうやって見つけたのでしょうかね・・・。
5、シミュレーションで発見 新種の「熱い氷」(岡山大学)
【紹介コメント】
物質が固体・液体・気体と、その振る舞いを変えることはよく知られていますが、実は固体の中にも結晶構造によってさらに細かい分類があります。氷の種類はなんと16種類もあり、僕達がよく日常生活の中で目にする氷は「氷I」と呼ばれています。それで、今回の研究では「氷VII」という、数百℃・数万気圧下で存在する氷をシミュレーションで作っている最中に、17種類目の新しい氷を見つけたということです。数百℃の氷って一体どんな感じなんでしょうかね。
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